love letter~章吾~
尾関の前から立ち去ろうと、教会の外に向かって歩き始める。
何かを言いかけた尾関は、続きを言おうとしない。
代わりに、尾関の鼻をすする音だけが聞こえてきた。
そのまま出て行くつもりだったのに、足が不意に止まった。
そして、二人の結婚を祝福しに来たはずの俺は……。
「聡と結婚なんかすんなよ」
尾関に背を向けたまま、そんなことを口にしていたんだ。
言った後になって、何てことを言ってしまったんだとひどく後悔してしまう。
でもそれは、親友を祝福しながらも、心の奥底で思っていた素直な気持ちだったんだ。
尾関の答えを聞きたくて、俺の足は止まったまま。
あともう少し待ってみよう。
答えがなかったら、このまま振り返りもせずに、ここを出て行こう――。