love letter~章吾~
「――結婚……?」
尾関の驚いたような声が、背後で聞こえてきた。
「あたしと……聡くんが……?」
続く尾関の言葉に、俺は思わず振り返った。
さっきまで泣いていた尾関は、きょとんとした顔で俺をじっと見ている。
「なんのこと? 結婚って……」
「は……? おまえ、今日ここで、聡と結婚すんだろ?」
俺が言うと、尾関はしきりに首を傾げている。
おまえ、ウエディングドレス着て教会にいるくせに、何とぼけてんだよ!?
「……笠原くん、誰かと間違ってる?」
「おまえ、俺をバカにしてんのか?」