love letter~章吾~
自分の気持ちに素直になったとたんに、俺の嫉妬心がムクムクと芽生え始める。
第一、いま怒るべきところはそこじゃないだろうと、自分に突っ込みつつ……。
「してねぇよ、マジで。
あの時から、章吾は由香のことを好きだったんだよ。
だからさ、章吾が保健室に来たのに気づいて、わざとキスする素振りを……」
「キスする……素振り? 素振りだなっ?」
「あぁ、素振りだよ」
過去のことを振り返ると、俺の突っ込みはもう止まることを知らない。
「じゃあ尾関! おまえ、聡のこと好きって言ったじゃねぇか。あれはなんだよ、あれは!」
「えっ、いや……、あれは……。笠原くんをあきらめようと思っ……」
「あきらめんじゃねぇよ、もっと頑張れよ、このバカ!」
一喝された尾関は真っ青な顔をして、小さな声で「すみません」と謝る。