love letter~章吾~


「――あ……」



謝ったあと、尾関が何か思い出したように顔を上げ、聡をちらりと見た。



「ねぇ、聡くん。あたしのことを好きだって言ったのは……?」



尾関の素朴な問いに、急に場がしんと静まり返る。

やがて流れる気まずい空気……。


聡が、尾関を好きだって言ったのか?

じゃあ聡は……、本当に尾関のことを……?



「好き『だった』かな? 正確に言えば。それも中学の頃の話だし」

「……おまえ……」



少し前に、聡が尾関を好きなんじゃないかと思ったことがあった。

それは、いくら昔のこととはいえ、本当の話で……。


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