love letter~章吾~
尾関が大切そうに手のひらに置いていた指輪。
それを無理やり奪い、俺は「すみません」と呆れ顔をしながら店員に返す。
店員は笑って受け取るけれど、明らかに困惑している。
無理もない。
「すみません、コレにします」
そう言って俺は、ショーケースの最前列に並べられた指輪を指さした。
「ちょっと待ってよ! 勝手に決めないで!」
その隣で尾関は必死になって止めるけど。
俺は強引に、指輪を買うための『手続き』に入る。