love letter~章吾~
店員に渡された受注用紙に、黙々と書き込む俺。
尾関は何やら言っているけれど、完全に無視している俺には聞こえてこない。
「指輪はいつ頃できますか?」
そう聞く俺に、店員はカレンダーを見ながら「二週間ほどで」と答えた。
「ねぇ、章吾くん。
クリスマスイブに入籍するのって、あたし、憧れているんだよねー」
うっとりした顔で、呑気なことを言う尾関。
そんなたわ言を無視して、俺は、【刻印内容】の欄に二週間後の日付を迷いもせずに書き込んだ。
「ねぇ……、クリスマスイブ……」