love letter~章吾~
反抗する俺を見て、先生は眉間に皺を寄せて事情を説明し始める。
「今日はテストをやるからな。尾関は仕方ないとして、翠川はただの付き添いだろ?」
ま、確かにそうだけどさ。
「だから翠川を呼んで来い」
「いや、だから、なんで俺……」
「特に意味はない。出席番号が尾関の次だったから。それだけだ」
……くそ。
親父……、親父はなんで『笠原』って苗字なんだよ。
結婚するとき婿養子になっていたら、お袋の旧姓『和佐』を名乗れたのに。
そうすりゃ、俺だってこんな屈辱味わわずにすんだのに。
先生にそこまで言い切られ、それ以上反抗することもできなくて。
面倒なことはさっさと終わらせよう。
保健室の中に入らなきゃいいんだと、自分に言い聞かせながら俺は教室を出た。