love letter~章吾~

俺はドアの隙間からすっぽりと入れていた顔を外し、保健室の壁に背を預けて佇む。

心臓がバクバクと鳴っている。

見てはいけないものを……見てしまった。


聡……、尾関のことを好きだったのか?

いや、好きなんだ。

そうでなきゃ、あんなことできねぇよな。


いったいいつから?

中学も一緒だったわけだし、ずいぶんと昔から好きだったとしてもおかしくはない。

尾関を好きだった聡に、俺は毎日のように尾関の悪口を言いまくっていたわけで。

それを聡は、どんな気持ちで聞いていたんだろう……。



「……章吾?」

「おっ、おおぅっ!聡じゃねぇかっっ!」



背後から突然声を掛けられ、俺は撥ねるようにしてもたれ掛かっていた壁から背を外す。


< 29 / 209 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop