love letter~章吾~
俺はそれを指先でつまみ上げると、目の前に持って行き、じっと見た。
黒い……糸?
……いや、糸じゃねぇな。
これって……まさか……。
「尾関の髪の毛。いやぁ、取るのに苦労したぜ。取り立てホヤホヤだぜー?」
指先からビリビリと電気が走る。
やがてそれは全身に広がって行き、俺の身体は硬直してしまった。
「尾関、眠っていたからさ、全然気付かなかったぜ?」
「………」
ついでにおまえ、キスしてただろ?
そんなこと、口が裂けても聞けなくて。
それよりも俺……、いま、尾関の髪の毛触ってるし……。
髪の毛をつまんだ指先が、ぴったりとくっついたまま離れないのは、尾関の呪いなのか!?