love letter~章吾~
そう言いながらも、聡は惜しむことなく髪の毛をその場に落とした。
掃除の時間がくれば、この髪の毛も他のゴミと一緒に焼却炉行きだ。
せっかく買った藁人形。
あいつの髪の毛一本、触ることができない俺には無理だ。
くそっ。
金を捨てたようなもんじゃないか。
藁人形を断念した俺は、その日家に帰りつくと、すぐに業者に電話した。
藁人形を引き取って欲しい、と。
最初は返金を渋っていた業者だったが、だんだん話が面倒になってきて、「返金はいいから、とにかく藁人形を引き取ってくれ」と申し出た。
やっぱり儲け主義な業者だったのか。
返金を断ると快く承諾してくれ、藁人形を引き取ってくれると言う。
電話を切ると、俺はその足で郵便局に走り藁人形を送り返した。
……次の手を考えねぇとな。
郵便局を出て、暗くなり始めた空を仰ぎながら、俺は次なる手を考え始めた。