love letter~章吾~
2.
*一生の不覚*
「……最悪」
「はっ?なにが?」
休み時間。
俺の目の前で、目を覆いたくなるほどの光景が繰り広げられている。
あのバカ……尾関が、教室中をウロウロしながら何やら配っている。
あれは、昨日提出した数学のノートだ。
もちろん、あの中に俺のノートもあるわけで。
つまり、俺はあのノートを尾関の手から受け取るのか!?
「そういや最近、尾関って、『笠原くーん』って来ないよな?」
「……おまえとチューしたからだろ?」
「だーかーらっ!俺はあいつとキスなんかしてねぇって!おまえ、しつこいぞ」
言われてみれば。
最近の尾関はそっけない。いや、そっけなさすぎる。
まぁ、俺にしてみれば、この上ない幸せで清々しているけど。