love letter~章吾~
尾関は教室中をいまだにウロつきながらノートを配っている。
やっぱりあいつはバカだ。
ノートの返却なんて、教壇の上に立って「取りに来て」って、一人ずつ名前呼べば早く終わるのに。
それに今は休み時間。
教室にいないヤツだっているだろうが。
ほとほと呆れていると、突然、悪寒がはしる。
尾関がこっちに近づいてくる。
とうとう俺の番だ。
まるで、死刑を待つ囚人のような気持ちになる。
「はいっ、翠川くん」
にこにこ笑いながら尾関は聡にノートを渡し、聡もまた同じような笑顔でノートを受け取る。
なんだよ、こいつら。
やっぱりキスしたんだろうが。