love letter~章吾~
ペンケースから取り出した消しゴムをちぎり、それを何度も立花に命中させながら呼ぶ。
何個目かの小さな消しゴムのかたまりがヒットしたと同時に、立花がゆっくりと顔を上げた。
「……げっ!!」
同時に。
尾関までもが立花の席の前で立ち止まり、こちらを振り返る。
そばにいた聡は「お決まりの展開だな」と、必死に笑いをこらえている。
俺は「うるせぇよ」と言い、席を立つと、ノート片手に立花の席にゆっくりと歩み寄った。
立花の席の前には誰もいない。
もしいるとすれば、それはただのモアイ像だ。
そう自分に言い聞かせ、あのバカ女の存在を完全に消し去る。
「これ、おまえのノートだろ?どっかのバカが間違えて俺に渡してきたんだよ」
尾関の存在を消し去りながらも、皮肉を込めて聞こえよがしに立花に言い放つ。