love letter~章吾~
俺からノートを受け取った立花は、ぼんやりとした目つきで尾関を見た。
そして、とんでもないことを言い出す。
「おまえのノート、その中にあるんじゃね?」
おい……、おいっっ!
おまえ、なんてこと言い出すんだ!?
こんな至近距離で、尾関からノートを受け取れっていうのか?
さっき自分の席で受け取った時よりも、かなり近いぞ。
ただでさえ今、この範囲内の空気を吸い込まないようにしているのに。
ちらり、と、尾関を見る。
全身硬直しているのか、尾関は本物のモアイ像と化していた。
くそっ。
尾関が触ったものはすべてお蔵入りになるんだ。
いま尾関の手中にあるノートも……。
でも、何が何でも奪い返さないと。