love letter~章吾~

もしもここで引いてしまったら……。

尾関に付きまとわれるか、俺のノートがヤツのコレクション入りになるかのどちらかだ。


目の前のモアイ像が、緊張で震えながらノートを俺に差し出す。

俺は、わなわなと怒りで震える手で、それを受け取る。

ノートを受け取った瞬間、一生分の力を使い果たしたような脱力感に襲われる。


もう用はねぇぞ。

さっさと席に戻ろう。

そして、新鮮な二酸化炭素をいっぱい吸い込もう。


そう思ったとき。

モアイ像はなにを考えたのか……。


くそ生意気にも俺のことを、横着な流し目で、斜め45度から見上げて言った。



「あぁら、ごめんなさいねぇ!」



――……はっ??

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