love letter~章吾~
尾関は、決まった!と言わんばかりに、横着な姿勢そのままにニヤリと微かに笑みを浮かべている。
呆然としている俺と立花のことなんか、丸っきり視界に入っていなくて。
自分の世界にどっぷりと浸かっている。
「……ブッ!」
そんなバカ尾関を現実世界に引き戻す、立花の吹き出す笑い声。
その声で尾関はハッと我に返り、目を白黒させながら俺と立花を交互に見る。
「おもしれー、尾関!」
尾関の態度は、どうやら立花のツボにはまったらしい。
……逆に俺は呆れるばかりだ。
尾関がこんな態度を取り始めた理由なんて、とっくにお見通しだっていうのに。
このバカは「バレてない」と自信たっぷりに、一歩どころか百歩近くズレているようなことを平気でやってのけるのだから。