love letter~章吾~
「また三年間よろしくね!笠原くん!」
「………」
満面の笑みで嬉しそうに言う尾関を、俺はいつものように無視してその場を立ち去った。
――……冗談じゃねぇぞ、マジで。
ラブレターを貰った翌日から無視し続けてかれこれ六年。
毎回話しかけられるたびに、俺は思い切り眉間に皺を寄せて嫌悪感を露にする。
それなのに尾関は屈することなく、いつもいつも笑顔で俺に話しかけてくるんだ。
どうか、どうか、同じクラスになりませんように!
合格発表の夜から入学式前日までの二週間。
深夜になると俺は自転車をかっ飛ばして近所の神社に向かい、本気でお百度参りをした。
神様ってのが本当にいるんなら、俺がどれだけ尾関と同じクラスになりたくないか、きっと分かってくれるはずだ。
そして、きっときっと……叶えてくれるはずなんだ……。