love letter~章吾~

*放課後・裏庭*



放課後――。

終業ベルが鳴ったと同時に、俺は手早く帰り支度を始める。

教室を出る直前に、尾関が俺のもとに駆け寄ってきて、「じゃあね、笠原くん」とにこにこ笑いながら声をかけてきた。


相当、図にのってんな、こいつ。

だけど、ここで別れの挨拶をすれば、もう金輪際こいつと関わることはない。



「じゃあな」



俺は軽く微笑んでそう返すと、ダッシュで教室を出た。


もちろん向かう先は裏庭。

そこには俺の未来の彼女・千賀成美が待ってんだ。


靴を履いて外に出ると、今にも雨が降り出しそうなどんよりとした空模様。

今朝の天気予報で雨が降るといっていたから、傘もちゃんと持って来ていた。


< 61 / 209 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop