love letter~章吾~
*放課後・裏庭*
放課後――。
終業ベルが鳴ったと同時に、俺は手早く帰り支度を始める。
教室を出る直前に、尾関が俺のもとに駆け寄ってきて、「じゃあね、笠原くん」とにこにこ笑いながら声をかけてきた。
相当、図にのってんな、こいつ。
だけど、ここで別れの挨拶をすれば、もう金輪際こいつと関わることはない。
「じゃあな」
俺は軽く微笑んでそう返すと、ダッシュで教室を出た。
もちろん向かう先は裏庭。
そこには俺の未来の彼女・千賀成美が待ってんだ。
靴を履いて外に出ると、今にも雨が降り出しそうなどんよりとした空模様。
今朝の天気予報で雨が降るといっていたから、傘もちゃんと持って来ていた。