love letter~章吾~
今日の帰りは、千賀と二人でこの傘に入って帰るのか……。
緩みきった顔で傘を握りしめ、俺は裏庭まで走った。
「……あっ……」
いつから待っていたんだろう。
千賀はすでに裏庭に来ていて、走ってきた俺を見るなり目を丸くして顔を真っ赤にする。
千賀の容姿は聡が言っていたとおりで。
恥ずかしそうにうつむく姿は、ますます俺の心をくすぐった。
緊張感ただよう裏庭。
なんだか俺までドキドキしてくる。
きっと千賀は、俺以上にドキドキしているんだろうな。
「……千賀さん?」
「あっ……、はいっっ」
俺が声をかけると、千賀は口元を震わせながら返事をする。