love letter~章吾~

今日の帰りは、千賀と二人でこの傘に入って帰るのか……。

緩みきった顔で傘を握りしめ、俺は裏庭まで走った。



「……あっ……」



いつから待っていたんだろう。

千賀はすでに裏庭に来ていて、走ってきた俺を見るなり目を丸くして顔を真っ赤にする。


千賀の容姿は聡が言っていたとおりで。

恥ずかしそうにうつむく姿は、ますます俺の心をくすぐった。


緊張感ただよう裏庭。

なんだか俺までドキドキしてくる。

きっと千賀は、俺以上にドキドキしているんだろうな。



「……千賀さん?」

「あっ……、はいっっ」



俺が声をかけると、千賀は口元を震わせながら返事をする。

< 62 / 209 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop