love letter~章吾~
「聡……、翠川から言われて来たんだけど……」
「あっ、あのっ……。ごめんなさい、呼び出したりして」
かなり緊張しているのか、千賀の目は俺を決して見ようとせず、左右に泳いでいる。
「なにか用事?」
分かりきっているくせに、とりあえず聞いてみる。
長い沈黙。
千賀は何度も深呼吸を繰り返し、ようやく落ち着いたところで口を開いた。
「あの、いま、彼女……とかいますか?」
「いや、いないよ」
「あ、あぁ、そうです……か」
再び、沈黙。