love letter~章吾~
*心変わり*
『尾関由香』という存在は、脅威だ。
可愛い俺の彼女・成美と、こうして水族館を満喫できて楽しいはずなのに。
目の前に尾関がいるだけで、俺はとんでもなく不愉快になる。
「あっ……!お母さんに、今夜のドラマ録画しといてって頼むの忘れてたー」
ここの水族館の目玉でもある、巨大なガラス張りの水槽。
水中をゆらゆらと漂っている魚の群れを前に、成美が慌てたようにバッグから携帯を取り出した。
「録画なんて帰ってからでいいだろ?」
どうせ夕方には帰るんだし。
夜のドラマにはじゅうぶん間に合うだろ?
「何時に帰るか分からないでしょう?」
頬をぷぅっと膨らませて成美が言う。