love letter~章吾~
何時に帰るか分からない……?
なに言ってんだ?
成美の親に気を遣って、俺はいつも、夕方五時には成美を家に送り届けている。
そんな誠実な俺。
いつも成美の母親から、
『章吾くんは本当にマジメなのね。安心だわ』
と、太鼓判を押されている。
きょとんとしている俺に、成美は小さな声で耳打ちした。
「ね、章吾くん?あたしたちもそろそろ……」
上目遣いで俺をじっと見つめる成美。
『そろそろ』。
キス止まりの俺たちだから、その意味は聞かなくてもよく分かった。
「そろそろって?」
それなのに俺は、わざととぼけて見せた。