love letter~章吾~
*初めての……?*
そうか、もう俺のことなんか好きじゃないのか。
本当に聡のことを好きなんだな。
尾関の冷静な告白に、俺は心の底からホッとした。
大事な親友が弄ばれているんじゃないか。
尾関が俺を落とすために利用しているんじゃないか。
尾関がそういう女じゃないことは百も承知だったけれど、どこかで疑っていた。
でも、尾関のあの言葉と態度は本物だ。
ウラなんてなかったんだ……――。
「……章吾くん」
「なに?」
水族館を出るまで、俺と尾関の間に会話はなかった。
真相が分かった以上、尾関と関わる必要はなくなったんだ。