幸せをくれた君に
「どうかしたの?」

不意に声をかけられ、ドキッとする。

雑誌から目をあげた理沙が、俺を不思議そうに見ている。

俺はどうやら突っ立たまま、あれやこれや考え過ぎていたようだ。

「いいや、なんでもないよ」

「仕事、忙しい?疲れているんじゃないの?」

彼女は身を起こすと、隣に俺が座れるようにスペースを空けてくれる。

彼女が時折見せる自然な優しさ。

その優しさに俺は癒されている。

彼女が俺の傍にいる。

彼女が俺の求めに応じてくれる。

それが全てのはずなのに。

久賀稔という男を見た時から感じる焦燥感にも似た嫉妬。

そんな感情が、何故、いきなり湧きだすのか……。
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