幸せをくれた君に
そんな自分自身すら、もてあますもやもやとした感情のまま、俺は気づけば、彼女に尋ねていた。


「久賀って知ってる?」


理沙は俺の口から久賀の名前が出たことに驚いたようだ。


「知ってるよ。なんで達哉が知ってるの?」

「今日、俺の会社に保険の勧誘にきてた」

「ふ~ん」

彼女の反応はただそれだけ。

そう、ただそれだけ。

「どんな奴?」

俺は彼女の隣に座りながら聞いた。

別に他の男の話なんて聞きたくもなかった。

あの時の俺は彼女からどんな答えが返ってくるのを期待していたのだろう。


「う~ん、難しいなぁ」

理沙は首を傾げる。
なんでもない、いつもの彼女が何かを考えるときの癖。

だけど、俺はその時、見つけてしまったのだ。
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