幸せをくれた君に
『初めまして』


それは彼女からの宣戦布告ともとれるフレーズ。


俺と彼女は『初めて』の関係ではないのだから。


俺の脳裏に蘇るのは、あの日の記憶。



『ミカちゃんってどんな字を書くの?』


あの理沙と出会った合コンの席で俺は挨拶がてら彼女にも尋ねたはずだ。


『平凡な美しいに香りです』
と答えた彼女。


『私、遊んでいるように思われがちなんですけど、本当は違うんですよ』


ホテルで彼女の服を脱がせようとしたとき、恥ずかしそうに俺に告げた言葉。


その言葉どおりに男慣れしていない身体。


『やめておく?』
と聞いた俺に、


『やめないで、私を感じさせて…』
と切なげに訴えた彼女。


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