幸せをくれた君に
「隣、座っていい?」

そんな問いかけに、彼女はハッと我に返るように俺を見上げ、コクリと頷いた。

俺を見上げる瞳が、真っ黒でぱっちりとしてて、なんとなく小動物を連想させた。

そう、うさぎみたいな草食動物。

さっきの5人の女の中では、一番地味な印象を受けたが、よくよく見ると結構可愛いかもしれない。


俺の苦手なタイプだけど。

彼女は遊びでは手を出せないそんな感じ。

本気の恋愛を求められる真面目なタイプの女。


「煙草吸ってもいい?」

「どうぞ」

彼女は長椅子の足元に置かれていた、銀色の円盤みたいな灰皿を俺に差し出してくる。

「悪い」

いつもは灰が道路に落ちようが気にもしない俺なのに、素直に受け取る。
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