幸せをくれた君に
『会いたい』という彼女からのメールに『もう会うつもりはない』と拒絶した俺。


その後、彼女から一度もメールが来ることはなかった。


終わったはずの『過去』。

終わらせたはずの『関係』。



けど、今、俺の前にいるのは間違いなく彼女だった。


『ミカちゃん』から『黒川美香』へと大人の女性へと立派に変貌をとげた彼女だった。



「美馬君、いくら美人だとはいえ初対面の女性を見すぎじゃないのか」


社長のたしなめる声。


「すみません」


「別に悪い気はしないので、結構です」

彼女はあっけらかんと答えると、俺に尋ねてきた。


「お名前教えてくださらない?」


その問いに俺は眩暈を覚えた。
< 40 / 67 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop