jack of all trades ~珍奇なS悪魔の住処~【完】
今頃、香さんや志音、秀斗たちは、姿が見えないわたしのことを、トイレにでも籠っているんじゃないかと言いながら、笑い合っているのかと思うと、自分が哀れでならなかった。
態度は、平常心を保っているように演じられても、内心は、気が狂っていたのだろう、誤魔化すことはできなかった。
「あの・・・・・・やっぱり、わたしって、あの世行きなのでしょうか?」
やっと、花開くような幸せを掴んだのに、このまま痛い思いをして、散っていくのだろうか?
そう思うと、自然と涙が頬をつたっていった。
感泣は、ほんの少しばかり休憩できると思っていた自分の甘さが、このときばかりは、苦く辛く、絶望的な味に感じてしまった。
「どういうことだ? 何か勘違いしているんじゃないか?」
千砂兎さんは、前方を見据えながら答えた。
そして、左手をわたしの右手に添えた。
「泣く必要がどこにある? 今日からわたしたちは、親密な仲になれたんだから。むしろ喜ぶべきことだ。今から、お茶でもしながら、ゆっくり話そう。蕾は、香とわたしのことを聞きたいんじゃないのか?」
(あと、どうして、あなたがわたしに優しくしてくれるのかも・・・・・・)
その質問は、話を聞いてからにした方が良さそうような気がした。
「あっ、はい! ご迷惑でなければ聞きたいです!」
わたしが目をまんまるに開いて、千砂兎さんの端正な横顔を凝視していると、急にこちらを見返してきた。
「可愛い子だねぇ」
態度は、平常心を保っているように演じられても、内心は、気が狂っていたのだろう、誤魔化すことはできなかった。
「あの・・・・・・やっぱり、わたしって、あの世行きなのでしょうか?」
やっと、花開くような幸せを掴んだのに、このまま痛い思いをして、散っていくのだろうか?
そう思うと、自然と涙が頬をつたっていった。
感泣は、ほんの少しばかり休憩できると思っていた自分の甘さが、このときばかりは、苦く辛く、絶望的な味に感じてしまった。
「どういうことだ? 何か勘違いしているんじゃないか?」
千砂兎さんは、前方を見据えながら答えた。
そして、左手をわたしの右手に添えた。
「泣く必要がどこにある? 今日からわたしたちは、親密な仲になれたんだから。むしろ喜ぶべきことだ。今から、お茶でもしながら、ゆっくり話そう。蕾は、香とわたしのことを聞きたいんじゃないのか?」
(あと、どうして、あなたがわたしに優しくしてくれるのかも・・・・・・)
その質問は、話を聞いてからにした方が良さそうような気がした。
「あっ、はい! ご迷惑でなければ聞きたいです!」
わたしが目をまんまるに開いて、千砂兎さんの端正な横顔を凝視していると、急にこちらを見返してきた。
「可愛い子だねぇ」