jack of all trades ~珍奇なS悪魔の住処~【完】
雑色
目が覚めると、千砂兎さんの姿はなかった。
もし、千砂兎さんが隣で眠っていたなら、心置きなく2度寝していただろう。
高級羽毛布団の中で伸びをしたあと、渋々起き上がり、浴衣の襟を整え、帯を締め直した。
いなくなった千砂兎さん・・・・・・この別荘の中にいることは分かっているのに、なぜか不安に駆られてしまった。
温もりが欲しいと思いつつも、自分勝手に飛び回れずにはいられない人、自由を愛する人だから。
探そうと襖を開けようとしたそのとき、ちょうど千砂兎さんが入ってきた。
「おはよう、蕾。よく眠れたようだね。夜中、可愛らしく鳴いていたよ」
(鳴いていた!? もしかして・・・・・・)
一瞬、いやらしい想像に走ってしまったが、それは違うだろう。
千砂兎さんは約束は守るはずだし、第一、そんな記憶がなかったからだ。
わたしは、あることが頭を過り、嫌な予感がした。
もし、その予想が当たっていたら・・・・・・そう考えると、慙死の思いに駆られてきた。
「そ・・・・・・それって、いびき・・・・・・?」
恐る恐る聞いてみると、恐れていた事実が発覚した。
「そうだよ。可愛いいびきだった。だけど、聴き惚れていると寝れなくなるから、塞いだよ」
「塞いだって!?」
強盗が人質にするように、その黒い皮手袋で口を塞いだのだろうか?
「そんなの、唇で塞いだ決まってるじゃないか。口には口をだろ?」
(それって、目には目を、歯には歯ですよね!? って、え~っ!? く・・・・・・)
「口~っ!?」
もし、千砂兎さんが隣で眠っていたなら、心置きなく2度寝していただろう。
高級羽毛布団の中で伸びをしたあと、渋々起き上がり、浴衣の襟を整え、帯を締め直した。
いなくなった千砂兎さん・・・・・・この別荘の中にいることは分かっているのに、なぜか不安に駆られてしまった。
温もりが欲しいと思いつつも、自分勝手に飛び回れずにはいられない人、自由を愛する人だから。
探そうと襖を開けようとしたそのとき、ちょうど千砂兎さんが入ってきた。
「おはよう、蕾。よく眠れたようだね。夜中、可愛らしく鳴いていたよ」
(鳴いていた!? もしかして・・・・・・)
一瞬、いやらしい想像に走ってしまったが、それは違うだろう。
千砂兎さんは約束は守るはずだし、第一、そんな記憶がなかったからだ。
わたしは、あることが頭を過り、嫌な予感がした。
もし、その予想が当たっていたら・・・・・・そう考えると、慙死の思いに駆られてきた。
「そ・・・・・・それって、いびき・・・・・・?」
恐る恐る聞いてみると、恐れていた事実が発覚した。
「そうだよ。可愛いいびきだった。だけど、聴き惚れていると寝れなくなるから、塞いだよ」
「塞いだって!?」
強盗が人質にするように、その黒い皮手袋で口を塞いだのだろうか?
「そんなの、唇で塞いだ決まってるじゃないか。口には口をだろ?」
(それって、目には目を、歯には歯ですよね!? って、え~っ!? く・・・・・・)
「口~っ!?」