jack of all trades ~珍奇なS悪魔の住処~【完】
香さんとわたしを繋ぐ扉が目の前にあった。
もう、明るく「ただいま」と言いながら開けることしかないと思っていた。
しかし、今は、かれこれ悩み続けて、10分ほどが経過していた。
「蕾、どうした? 勇気が湧かないのか?」
「シー! 香さんに気付かれちゃう。ごめんなさい・・・・・・。まだ、心の準備ができてなくて・・・・・・」
香さんは、確実に怒っている。
少々、事故的な部分もあるので、わたしが全て悪いと一概には言えないが、一晩、許しも得ずに泊ってしまったのはいけなかった。
どんな態度で接すればいいのか?
どんな質問を投げかけてくるだろうか?
どうすれば、彼の昂りと混乱を落ち付かせることができるだろうか?
考えれば、きりがなかった。
「千砂兎さん・・・・・・もう当たって砕けろ精神です!」
自分の微妙な前向きさに拍手を送った。
「大丈夫さ。わたしがいるんだし」
その瞬間、千砂兎さんの右手の龍が、口角を上げてミスレリアスな笑みを浮かべたような気がした。
わたしは勢いよくドアを開けた。
それは、何も怪しいことはないぞ~といった堂々たる雰囲気を醸し出すためだった。
「ただいま~! 香さん! ごめんね、ちょっとお呼ばれしちゃってさ」
そして、少し舌を出して、お茶目感も演出してみた。
店内を見渡すと、香さんは修理している最中で、志音と秀斗は昨日の片付けをしていた。
もう、明るく「ただいま」と言いながら開けることしかないと思っていた。
しかし、今は、かれこれ悩み続けて、10分ほどが経過していた。
「蕾、どうした? 勇気が湧かないのか?」
「シー! 香さんに気付かれちゃう。ごめんなさい・・・・・・。まだ、心の準備ができてなくて・・・・・・」
香さんは、確実に怒っている。
少々、事故的な部分もあるので、わたしが全て悪いと一概には言えないが、一晩、許しも得ずに泊ってしまったのはいけなかった。
どんな態度で接すればいいのか?
どんな質問を投げかけてくるだろうか?
どうすれば、彼の昂りと混乱を落ち付かせることができるだろうか?
考えれば、きりがなかった。
「千砂兎さん・・・・・・もう当たって砕けろ精神です!」
自分の微妙な前向きさに拍手を送った。
「大丈夫さ。わたしがいるんだし」
その瞬間、千砂兎さんの右手の龍が、口角を上げてミスレリアスな笑みを浮かべたような気がした。
わたしは勢いよくドアを開けた。
それは、何も怪しいことはないぞ~といった堂々たる雰囲気を醸し出すためだった。
「ただいま~! 香さん! ごめんね、ちょっとお呼ばれしちゃってさ」
そして、少し舌を出して、お茶目感も演出してみた。
店内を見渡すと、香さんは修理している最中で、志音と秀斗は昨日の片付けをしていた。