jack of all trades ~珍奇なS悪魔の住処~【完】
「叱られやしないよ・・・・・・」
真っ暗闇の中、千砂兎さんの声が響いてきた。
「どうして?」
わたしは、訳が分からず、慌てたように聞き返した。
千砂兎さんは、少し間を開けてから答えた。
「永眠だ。体の冷たさと固さからみると、おそらく、昨日の晩・・・・・・。きっと、写真を見ながら往ってしまったんだろう・・・・・・」
わたしは、体が小刻みに震え出した。
(お婆ちゃん・・・・・・お婆ちゃん・・・・・・)
千砂兎さんが、上着を被せてくれて正解だった。
お母さんの死を数年前に目の当たりにしたばかりのわたしは、人間の屍に異常な恐怖感を抱いてしまうようだ。
千砂兎さんは、それを分かった上で、先に行動に移してくれたのだろう。
温かい固まりが、わたしを抱き締めてきた。
「蕾、今は見ない方がいい・・・・・・。落ち付いてからでいいから・・・・・・。婆さんもそれくらい分かってくれるさ。あぁ、見えても情に熱い人だから・・・・・・」
千砂兎さんとお婆さんの間にも、いろいろあったのだろう。
その内容に触れなくても、分かるような気がした。
千砂兎さんは、片手でわたしを抱き締めながら、誰かと電話していた。
「志音、仕事中に悪い。香のお婆さんが亡くなった。 香に、葬儀屋に電話したあと、店に来てくれと伝えてくれ。わたしは手が離せなくてな。何? どうしてだと? 蕾? そこは秘密だ。気にするな、いいじゃないか、大丈夫だ。わたしがいるんだ。あぁ、連絡を頼んだぞ。じゃあ」
何が秘密なのかは、よく分からなかったが、そんなこと聞く余裕なんてなかった。
ただ、お婆さんとの思い出に浸って、幾筋もの涙を流すだけだった。
真っ暗闇の中、千砂兎さんの声が響いてきた。
「どうして?」
わたしは、訳が分からず、慌てたように聞き返した。
千砂兎さんは、少し間を開けてから答えた。
「永眠だ。体の冷たさと固さからみると、おそらく、昨日の晩・・・・・・。きっと、写真を見ながら往ってしまったんだろう・・・・・・」
わたしは、体が小刻みに震え出した。
(お婆ちゃん・・・・・・お婆ちゃん・・・・・・)
千砂兎さんが、上着を被せてくれて正解だった。
お母さんの死を数年前に目の当たりにしたばかりのわたしは、人間の屍に異常な恐怖感を抱いてしまうようだ。
千砂兎さんは、それを分かった上で、先に行動に移してくれたのだろう。
温かい固まりが、わたしを抱き締めてきた。
「蕾、今は見ない方がいい・・・・・・。落ち付いてからでいいから・・・・・・。婆さんもそれくらい分かってくれるさ。あぁ、見えても情に熱い人だから・・・・・・」
千砂兎さんとお婆さんの間にも、いろいろあったのだろう。
その内容に触れなくても、分かるような気がした。
千砂兎さんは、片手でわたしを抱き締めながら、誰かと電話していた。
「志音、仕事中に悪い。香のお婆さんが亡くなった。 香に、葬儀屋に電話したあと、店に来てくれと伝えてくれ。わたしは手が離せなくてな。何? どうしてだと? 蕾? そこは秘密だ。気にするな、いいじゃないか、大丈夫だ。わたしがいるんだ。あぁ、連絡を頼んだぞ。じゃあ」
何が秘密なのかは、よく分からなかったが、そんなこと聞く余裕なんてなかった。
ただ、お婆さんとの思い出に浸って、幾筋もの涙を流すだけだった。