jack of all trades ~珍奇なS悪魔の住処~【完】
「じゃあ、秀斗は、千砂兎さんの弟子かつ結婚相手になりたいってこと!?」
「あぁ」
志音は、人のことなどどうでもいいとでも言いたそうな素気無い表情へと戻っていた。
「信じられない・・・・・・」
「いいじゃないか。秀斗も幸せになりたいんだろう。わたしだって・・・・・・」
一瞬、志音のオーラに哀感の色が漂ったように見えたので、聞き返そうとしたがすぐに遮られた。
「どうして、蕾に連絡が来ないか分かるか?」
興味は違う場所に逸れた。
「分からない・・・・・・幼稚い発言しかできないから、面白くないとか?」
志音は、音も立てずに椅子から腰を上げ、わたしの顎を容易く親指で持ち上げた。
香さんは2階で、真論の世話をしている真っ只中であることが、何よりの救いだった。
「違う。恋しくなるんだ。蕾の声を耳に入れると、言葉を目にすると会いたくなる。もっと傍にいたいと」
ハートをまるごと射抜いてくるような志音の瞳から、目が離せなかった。
それは、わたしもだよとでも言いたそうな、飢えと独占欲が滲み出たような瞳だった。
あの頃を思い出すような・・・・・・懐かしい、その燃えるような瞳。
身も心にも熱情が籠っている状態のわたしを欲張りだと思った。
まるで、熱いまま瓶詰めされたマーマレードジャムのようだ。
だけど、愛することは悪いことじゃない。
愛するにも理由と種類があって、それは何通りあるかも分からない。
同じものは存在しないから、誰の心にも・・・・・・。
(親愛なる志音・・・・・・ありがとう)
いつの間にか、親指は唇に移動していた。
「あぁ」
志音は、人のことなどどうでもいいとでも言いたそうな素気無い表情へと戻っていた。
「信じられない・・・・・・」
「いいじゃないか。秀斗も幸せになりたいんだろう。わたしだって・・・・・・」
一瞬、志音のオーラに哀感の色が漂ったように見えたので、聞き返そうとしたがすぐに遮られた。
「どうして、蕾に連絡が来ないか分かるか?」
興味は違う場所に逸れた。
「分からない・・・・・・幼稚い発言しかできないから、面白くないとか?」
志音は、音も立てずに椅子から腰を上げ、わたしの顎を容易く親指で持ち上げた。
香さんは2階で、真論の世話をしている真っ只中であることが、何よりの救いだった。
「違う。恋しくなるんだ。蕾の声を耳に入れると、言葉を目にすると会いたくなる。もっと傍にいたいと」
ハートをまるごと射抜いてくるような志音の瞳から、目が離せなかった。
それは、わたしもだよとでも言いたそうな、飢えと独占欲が滲み出たような瞳だった。
あの頃を思い出すような・・・・・・懐かしい、その燃えるような瞳。
身も心にも熱情が籠っている状態のわたしを欲張りだと思った。
まるで、熱いまま瓶詰めされたマーマレードジャムのようだ。
だけど、愛することは悪いことじゃない。
愛するにも理由と種類があって、それは何通りあるかも分からない。
同じものは存在しないから、誰の心にも・・・・・・。
(親愛なる志音・・・・・・ありがとう)
いつの間にか、親指は唇に移動していた。