jack of all trades ~珍奇なS悪魔の住処~【完】
しかし、運ばれていったのは、細く長い指を携えた香さんの手だった。
小指は作業のために爪が長く伸ばされていたが、他の指の爪は全て切り揃えらていて、清潔感が象徴されていた。
白くて綺麗な手は形を変え、真っすぐ伸ばされた人差し指だけが、おたまに向かって進んでいった。
真っ白なブラウスにカレーがどっぷりと染み付くように、香さんの人差し指もカレーに浸かった。
今にもカレーが滴りそうな指を、わたしに見せながら言った。
「さぁ、味見をして。蕾」
わたしは訳が分からず、目をぱちくりさせて香さんを見た。
彼は、じっとわたしの瞳を覗きこんで、今か今かと、次に起こるアクションを待ち望んでいる様子だった。
(舐めるの?)
そんないやらしい想像をしてしまった自分が恐ろしくなって、首をふるふると左右に振った。
「蕾、早く。冷めすぎちゃうよ。カレー好きの猫みたいにさ、早く舐めてよ」
(カレー好きの猫なんて見たことないよ・・・・・・)
そんなふうに考える余裕がある自分に驚いている間にも、唇は吸い寄せられるように香さんの指に近付いていった。
閉じられた唇は半分開き、舌は待てもできないほど欲張りに、カレーを舐め始めた。
5回ほど指の上を自由に行き来したとき、上から香さんの声が降ってきた。
「可愛い・・・・・・蕾・・・・・・。けど、それだけじゃ許せないよ」
香さんは指に付いた残りのカレーを、わたしの人差し指に擦り付け、満足そうに微笑んだ。
首を傾げたわたしの手を掴み、お返しと言わんばかりに強引に舐め始めた。
小指は作業のために爪が長く伸ばされていたが、他の指の爪は全て切り揃えらていて、清潔感が象徴されていた。
白くて綺麗な手は形を変え、真っすぐ伸ばされた人差し指だけが、おたまに向かって進んでいった。
真っ白なブラウスにカレーがどっぷりと染み付くように、香さんの人差し指もカレーに浸かった。
今にもカレーが滴りそうな指を、わたしに見せながら言った。
「さぁ、味見をして。蕾」
わたしは訳が分からず、目をぱちくりさせて香さんを見た。
彼は、じっとわたしの瞳を覗きこんで、今か今かと、次に起こるアクションを待ち望んでいる様子だった。
(舐めるの?)
そんないやらしい想像をしてしまった自分が恐ろしくなって、首をふるふると左右に振った。
「蕾、早く。冷めすぎちゃうよ。カレー好きの猫みたいにさ、早く舐めてよ」
(カレー好きの猫なんて見たことないよ・・・・・・)
そんなふうに考える余裕がある自分に驚いている間にも、唇は吸い寄せられるように香さんの指に近付いていった。
閉じられた唇は半分開き、舌は待てもできないほど欲張りに、カレーを舐め始めた。
5回ほど指の上を自由に行き来したとき、上から香さんの声が降ってきた。
「可愛い・・・・・・蕾・・・・・・。けど、それだけじゃ許せないよ」
香さんは指に付いた残りのカレーを、わたしの人差し指に擦り付け、満足そうに微笑んだ。
首を傾げたわたしの手を掴み、お返しと言わんばかりに強引に舐め始めた。