jack of all trades ~珍奇なS悪魔の住処~【完】
意外にわたしは料理上手なんだと自己満足しながら、カレーライスを頬張っていく。
ふと、香さんに目をやると、なんと彼は一口も食べていないではないか!
「香さん、食べないんですか? 冷めてしまいますよ」
頬杖をついたまま、ずっとわたしを見つめていた。
「僕は猫舌なんだ。蕾は子猫みたいな可愛い舌使いなのに、猫舌じゃないんだね。変なの」
(いや・・・・・・そこ変な要素ですかね?)
密かにツッコミを入れたあと、香さんの様子を窺いながらも、全て食べ終えてしまった。
「ご馳走様でした」
1人で手を合わせ、一口も食べていない香さんを目の前にすると、悲哀と虚脱感に押し倒されそうになった。
そのとき、香さんは手を差し伸ばしてきた。
(えっ!?)
「待ちくたびれたよ。早くスプーン貸して」
また訳が分からないまま、素直に使用済みのスプーンを差し出した。
スプーンを握ったかと思うと、即、カレーライスを食べ始めたのだ。
(どっ・・・・・・どういうこと?)
香さんは実に爽やかな笑顔で、食事を進めていった。
わたしの固いシルバーの唇を弄ぶかのように。
そして、食べ終わったと同時に、妖艶な笑みを浮かべて、わたしを直視して言った。
「蕾は刺激が欲しくなったんだね。今までは落ち着いた和食しか作らなかったのに。スパイスを求めているのさ。僕と同じだね。そんな君が愛おしくて、つい舐めすぎてしまったよ」
そう告げたあと、テーブルの上の食器を全て重ね、流しへと行ってしまった。
彼は、変だ。
何を考えているのか分からない。
だけど、それはわたしも同じようだ。
ふと、香さんに目をやると、なんと彼は一口も食べていないではないか!
「香さん、食べないんですか? 冷めてしまいますよ」
頬杖をついたまま、ずっとわたしを見つめていた。
「僕は猫舌なんだ。蕾は子猫みたいな可愛い舌使いなのに、猫舌じゃないんだね。変なの」
(いや・・・・・・そこ変な要素ですかね?)
密かにツッコミを入れたあと、香さんの様子を窺いながらも、全て食べ終えてしまった。
「ご馳走様でした」
1人で手を合わせ、一口も食べていない香さんを目の前にすると、悲哀と虚脱感に押し倒されそうになった。
そのとき、香さんは手を差し伸ばしてきた。
(えっ!?)
「待ちくたびれたよ。早くスプーン貸して」
また訳が分からないまま、素直に使用済みのスプーンを差し出した。
スプーンを握ったかと思うと、即、カレーライスを食べ始めたのだ。
(どっ・・・・・・どういうこと?)
香さんは実に爽やかな笑顔で、食事を進めていった。
わたしの固いシルバーの唇を弄ぶかのように。
そして、食べ終わったと同時に、妖艶な笑みを浮かべて、わたしを直視して言った。
「蕾は刺激が欲しくなったんだね。今までは落ち着いた和食しか作らなかったのに。スパイスを求めているのさ。僕と同じだね。そんな君が愛おしくて、つい舐めすぎてしまったよ」
そう告げたあと、テーブルの上の食器を全て重ね、流しへと行ってしまった。
彼は、変だ。
何を考えているのか分からない。
だけど、それはわたしも同じようだ。