jack of all trades ~珍奇なS悪魔の住処~【完】
24時間利用可能な有料パーキングに車を停め、携帯を見ると、時刻は22時半だった。
ちょうどそのとき、携帯の着信音が鳴り、驚きで肩がビクッとした。
(なんだ・・・・・・いつものメールか)
3回繰り返す単調な音に、安堵の笑みを浮かべた。
秀斗は家に辿り着くと、いつも「帰ったよ」とメールを寄こす。
そして、わたしは「ありがとう」とお礼を言う。
いつもの決まりごと。
ちょくちょくメールや電話をしてくるのは、わたしの存在と行動を確かめているのだろうか?
わたしは人見知りのせいで、親友と言える友人もいないし、ましてや男友達なんて誰もいなかった。
その寂しさが、更に彼との結束を強めていたのだろう。
すぐに返事をすることは、当たり前のことだった。
普段とは異なる自分の行動と、秀斗の変わらない行動が織り合って、裏切りの念が生まれてきた。
だけど、不思議なことにわたしは自然と嘘をつけた。
指は戸惑いながらも「美味しかった。ありがとう」とほのかな嘘をついたのだ。
駐車場を抜け、あのレストラン前に足を踏み入れた。
まだ営業していて、オレンジを含んだ温かい光が窓ガラスから漏れていた。
複数のカップルが、この上もないほどの幸福そうな笑みを浮かべている。
わたしは今幸せなんだろうか?
溜息を零しながら、レストランから目を逸らし、暗い通路に向かって足を進めた。
わたしは本当の幸せから目を逸らしている、そんな気がした。
だけど、本当の幸せとは何なのだろう?
ちょうどそのとき、携帯の着信音が鳴り、驚きで肩がビクッとした。
(なんだ・・・・・・いつものメールか)
3回繰り返す単調な音に、安堵の笑みを浮かべた。
秀斗は家に辿り着くと、いつも「帰ったよ」とメールを寄こす。
そして、わたしは「ありがとう」とお礼を言う。
いつもの決まりごと。
ちょくちょくメールや電話をしてくるのは、わたしの存在と行動を確かめているのだろうか?
わたしは人見知りのせいで、親友と言える友人もいないし、ましてや男友達なんて誰もいなかった。
その寂しさが、更に彼との結束を強めていたのだろう。
すぐに返事をすることは、当たり前のことだった。
普段とは異なる自分の行動と、秀斗の変わらない行動が織り合って、裏切りの念が生まれてきた。
だけど、不思議なことにわたしは自然と嘘をつけた。
指は戸惑いながらも「美味しかった。ありがとう」とほのかな嘘をついたのだ。
駐車場を抜け、あのレストラン前に足を踏み入れた。
まだ営業していて、オレンジを含んだ温かい光が窓ガラスから漏れていた。
複数のカップルが、この上もないほどの幸福そうな笑みを浮かべている。
わたしは今幸せなんだろうか?
溜息を零しながら、レストランから目を逸らし、暗い通路に向かって足を進めた。
わたしは本当の幸せから目を逸らしている、そんな気がした。
だけど、本当の幸せとは何なのだろう?