jack of all trades ~珍奇なS悪魔の住処~【完】
ベルの音が鳴って、香さんが出てきた。
そして、小さい紙切れにサインし終えると、それを受け取った男性はすぐに立ち去ってしまった。
(配達員? バイクを注文したの?)
そう目星を付けたわたしは、急いで階段を降り、外へと向かった。
扉を開けた瞬間、わたしの胸は、ハープの弦ようにきゅんと弾かれた。
色白で繊細な香さんのプロフィールと、ハードでごついノワールのバイクが対比されつつ、絶妙にコラボされた光景が広がっていたからだ。
(かっこいい・・・・・)
しかも、香さんは、バイクに合わてコーディネートように、タイトな黒いシャツにダメージジーンズ、太い黒皮のベルトをしていた。
そして、無造作の茶髪を風になびかせていた。
完璧だと見惚れていると、噂の的である彼が振り向いてきた。
「あぁ、蕾、来てたのか。どう、このバイク?」
わたしは香さんだけを瞳に映していたことに気付き、返事をしようと慌ててバイクに視線を移した。
そのノワールのバイクは、2人乗りだった。
前と後部が大きく、重みがあり、真ん中のボディは、黒ヒョウをイメージさせるほどスレンダーだった。
かっこいいと感想を伝えようとしたとき、すでに香さんは、バイクを凝視したまま微動だにしなくなっていた。
彼の世界の中で、イメージがどんどん肥大しているところなのだろう。
そして、何かを企んでいるのだ、絶対に。
予想は的中で、静止していた瞳が輝き出したときには、もう宣言されていた。
「もっと、もっと、リメイクして、世界中のどのバイクよりもかっこよくしなくちゃ!」
そして、小さい紙切れにサインし終えると、それを受け取った男性はすぐに立ち去ってしまった。
(配達員? バイクを注文したの?)
そう目星を付けたわたしは、急いで階段を降り、外へと向かった。
扉を開けた瞬間、わたしの胸は、ハープの弦ようにきゅんと弾かれた。
色白で繊細な香さんのプロフィールと、ハードでごついノワールのバイクが対比されつつ、絶妙にコラボされた光景が広がっていたからだ。
(かっこいい・・・・・)
しかも、香さんは、バイクに合わてコーディネートように、タイトな黒いシャツにダメージジーンズ、太い黒皮のベルトをしていた。
そして、無造作の茶髪を風になびかせていた。
完璧だと見惚れていると、噂の的である彼が振り向いてきた。
「あぁ、蕾、来てたのか。どう、このバイク?」
わたしは香さんだけを瞳に映していたことに気付き、返事をしようと慌ててバイクに視線を移した。
そのノワールのバイクは、2人乗りだった。
前と後部が大きく、重みがあり、真ん中のボディは、黒ヒョウをイメージさせるほどスレンダーだった。
かっこいいと感想を伝えようとしたとき、すでに香さんは、バイクを凝視したまま微動だにしなくなっていた。
彼の世界の中で、イメージがどんどん肥大しているところなのだろう。
そして、何かを企んでいるのだ、絶対に。
予想は的中で、静止していた瞳が輝き出したときには、もう宣言されていた。
「もっと、もっと、リメイクして、世界中のどのバイクよりもかっこよくしなくちゃ!」