jack of all trades ~珍奇なS悪魔の住処~【完】
オルゴール
店内に、いつも優しく響き渡るクラシックの音楽。
心地良く感じる音量と曲選択、そこにも香さんのセンスが光っていた。
いつものように、音楽に浸っていると、突然、聴き慣れない音が交ざった。
(オルゴール?)
知らないバラードのメロディーであることは確かだ。
店内には、ちらほらオルゴールが置いてあるが、香さんが鳴らしている姿は見たことがなかった。
メロディーが鳴り終わったとき、香さんの方に目をやると、修理台の上でオルゴールのネジを回していた。
「香さん、そのオルゴール、修理を頼まれたの?」
「いや、違うよ。僕が作りたくなっただけさ」
そのオルゴールは、木製の箱型で、中に本体が内蔵されているようだ。
香さんが蓋を開けると、再び、そのオルゴールが音楽を奏で始めた。
「中には時計も内蔵されているんだよ。時計の秒針と音楽のテンポがちゃんと合うようにした。動かすことができない運命の秒針に、僕たちが奏で合うメロディーを調和させたんだ。というのも、これは僕から蕾への贈り物さ」
わたしは優しく弾かれるような音楽と同様に、胸を弾ませながら、香さんの隣に並んだ。
「うわぁ、可愛い~!」
ニスを塗った木製の箱には、蕾の模様が彫られていた。
バイクのときとは違って、複雑な模様というよりも、シンプルなマークといった感じだった。
そして、右下に『tubomi』と筆記体で彫られていた。
心地良く感じる音量と曲選択、そこにも香さんのセンスが光っていた。
いつものように、音楽に浸っていると、突然、聴き慣れない音が交ざった。
(オルゴール?)
知らないバラードのメロディーであることは確かだ。
店内には、ちらほらオルゴールが置いてあるが、香さんが鳴らしている姿は見たことがなかった。
メロディーが鳴り終わったとき、香さんの方に目をやると、修理台の上でオルゴールのネジを回していた。
「香さん、そのオルゴール、修理を頼まれたの?」
「いや、違うよ。僕が作りたくなっただけさ」
そのオルゴールは、木製の箱型で、中に本体が内蔵されているようだ。
香さんが蓋を開けると、再び、そのオルゴールが音楽を奏で始めた。
「中には時計も内蔵されているんだよ。時計の秒針と音楽のテンポがちゃんと合うようにした。動かすことができない運命の秒針に、僕たちが奏で合うメロディーを調和させたんだ。というのも、これは僕から蕾への贈り物さ」
わたしは優しく弾かれるような音楽と同様に、胸を弾ませながら、香さんの隣に並んだ。
「うわぁ、可愛い~!」
ニスを塗った木製の箱には、蕾の模様が彫られていた。
バイクのときとは違って、複雑な模様というよりも、シンプルなマークといった感じだった。
そして、右下に『tubomi』と筆記体で彫られていた。