jack of all trades ~珍奇なS悪魔の住処~【完】
「香さん・・・・・・香さん」
彼は、お客さんに頼まれた懐中電灯の修理に没頭しているところだった。
(邪魔しないようにしなくちゃ)
そっと、2階に上がり、インターネットでハムスターの飼い方を調べることにした。
最初のページはハムスターの特性が載っていて、その要点をメモ帳に書き込んだあと、次の飼い方のページに進んだ。
1時間くらい画面を凝視していたからだろうか、だんだん目も疲れてきて、眠気に襲われ始めた。
うとうとしているうちに、だんだんと目の前が真っ暗になっていった。

どれくらい時間が経ったのだろうか?
今までに聞いたことのないような物音で目が覚めた。
それは1階から聞こえてきた。
(大がかりな修理をしているかな?それにしても、夜に香さんが大きな音を出すなんて珍しいな)
1階に行こうと目を開けたが、なぜか目の前は暗いままだった。
徐々に意識がはっきりしてきて、夜目が利くようになると、自分の置かれた現状が明らかになってきた。
わたしは、いつの間にか横に寝かされていて、体を覆うほどのフリース素材の布が掛けられていたのだ。
相変わらず「ガタガタ、ゴソゴソ」と物音は聞こえてきた。
しかも、その音は2階へと近付いてきているではないか。
(えっ!? 何? 怖い・・・・・・泥棒?)
怖気に襲われながらも、体を起こそうと力を込めたそのとき、近くで大きな荷物を置いたような音がした。
恐怖の余り、裏返った声が出た。
「か・・・・・・香っ、さん!?」











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