jack of all trades ~珍奇なS悪魔の住処~【完】
その日から、2人と1匹の共同生活、いや、3人の共同生活が始まった。
マロンがいるからといって、わたしは香さんの部屋に泊まることはしなかった。
今までと変わらず、平日の夜に遊びに行って、寝不足にならない程度に家に帰る生活を継続していた。
香さんは、餌やトイレの砂などの消耗が早い物も、無くなる前に、いつも正確に用意していた。
ある日、わたしがどこで買っているのか聞いたとき、なぜか言いたくなさそうな困惑した表情を浮かべた。
隠したいことでもあるのだろうかと疑念が湧いたので、少し強気になって聞いてみた。
「香さん、隠したって無駄よ。わたし、近くにペットショップがあるのを知っているわよ。香さんの店に行く方向と逆だけどね」
わたしは、可愛い嘘をついた。
どこにペットショップがあるかなんて、本当は知らなかった。
だけど、香さんはインドア派なタイプなので、遠出をすることはしないだろう。
それに、わたしがjack of all tradesに辿り着くまでに、ペットショップなんて見当たらなかった。
いつもは見せない射抜くような鋭い目つきを演じてみると、香さんは溜息をついて渋々答えた。
「蕾には秘密にしとこうと思ったけど・・・・・・。正解だよ。イタリアンのお店から、僕の店にくる道とは反対の道を10分くらい進むとあるんだ」
しゅんとした香さんを見て、少し可哀そうになったので、口調を変えて優しく返すことにした。
「香さん、引っかかったぁ」
わたしがクスッと笑うと、香さんは目をぱちくりさせた。
「知らなかったの?」
「そうよ」
そう言って悪戯な笑みを浮かべたとき、香さんは急にわたしを壁に押し付けた。
マロンがいるからといって、わたしは香さんの部屋に泊まることはしなかった。
今までと変わらず、平日の夜に遊びに行って、寝不足にならない程度に家に帰る生活を継続していた。
香さんは、餌やトイレの砂などの消耗が早い物も、無くなる前に、いつも正確に用意していた。
ある日、わたしがどこで買っているのか聞いたとき、なぜか言いたくなさそうな困惑した表情を浮かべた。
隠したいことでもあるのだろうかと疑念が湧いたので、少し強気になって聞いてみた。
「香さん、隠したって無駄よ。わたし、近くにペットショップがあるのを知っているわよ。香さんの店に行く方向と逆だけどね」
わたしは、可愛い嘘をついた。
どこにペットショップがあるかなんて、本当は知らなかった。
だけど、香さんはインドア派なタイプなので、遠出をすることはしないだろう。
それに、わたしがjack of all tradesに辿り着くまでに、ペットショップなんて見当たらなかった。
いつもは見せない射抜くような鋭い目つきを演じてみると、香さんは溜息をついて渋々答えた。
「蕾には秘密にしとこうと思ったけど・・・・・・。正解だよ。イタリアンのお店から、僕の店にくる道とは反対の道を10分くらい進むとあるんだ」
しゅんとした香さんを見て、少し可哀そうになったので、口調を変えて優しく返すことにした。
「香さん、引っかかったぁ」
わたしがクスッと笑うと、香さんは目をぱちくりさせた。
「知らなかったの?」
「そうよ」
そう言って悪戯な笑みを浮かべたとき、香さんは急にわたしを壁に押し付けた。