jack of all trades ~珍奇なS悪魔の住処~【完】
あれからまた1年が過ぎたころ、ある転機がわたしを襲うことになる。
その夜は雨だった。
香さんは、店内でひどく後悔したような表情を浮かべていた。
「香さん、そんな顔してどうしたの?」
「あぁ、蕾が来る前にペットショップに行ったんだよ。餌を買いにね。お金を渡したあと、ついでに他のものも買っておこうと、餌をレジに預けていたんだ。で、他のものを買ったはいいんだけど、肝心な餌をショップに忘れてきてしまった。今日もう一度行かないといけない。ショップは明日定休日だからね」
香さんは親バカのせいで、自分の失態に相当項垂れていた。
「そうだったんだ。急いでいかなくちゃ。もう20時40分よ。何時に閉まるのかしら」
店内に飾られた時計は、全て正確に同じ時間を示していた。
「21時には閉まってしまう。ちょっと急いで行ってくるよ」
わたしが了解しようとしたそのとき、ドアのベルが鳴った。
(ありえない。夜にお客さん?)
香さんもきっと同じことを思っただろう。
2人の視線は入口に注がれた。
そこには、なぜか警察がいて、わたしは度肝を抜いた。
「お久しぶりです。捜索届が出て、もう6年が経ちました。未だ手がかりはありません。でも希望は捨てないでくださいね。きっとどこかで暮らしていますよ」
香さんは慣れたように返事をした。
「ありがとうございます。毎年来ていただいて。夜に訪れてくるなんて初めてで驚きました。すみません、今日は急用がありまして・・・・・・」
その夜は雨だった。
香さんは、店内でひどく後悔したような表情を浮かべていた。
「香さん、そんな顔してどうしたの?」
「あぁ、蕾が来る前にペットショップに行ったんだよ。餌を買いにね。お金を渡したあと、ついでに他のものも買っておこうと、餌をレジに預けていたんだ。で、他のものを買ったはいいんだけど、肝心な餌をショップに忘れてきてしまった。今日もう一度行かないといけない。ショップは明日定休日だからね」
香さんは親バカのせいで、自分の失態に相当項垂れていた。
「そうだったんだ。急いでいかなくちゃ。もう20時40分よ。何時に閉まるのかしら」
店内に飾られた時計は、全て正確に同じ時間を示していた。
「21時には閉まってしまう。ちょっと急いで行ってくるよ」
わたしが了解しようとしたそのとき、ドアのベルが鳴った。
(ありえない。夜にお客さん?)
香さんもきっと同じことを思っただろう。
2人の視線は入口に注がれた。
そこには、なぜか警察がいて、わたしは度肝を抜いた。
「お久しぶりです。捜索届が出て、もう6年が経ちました。未だ手がかりはありません。でも希望は捨てないでくださいね。きっとどこかで暮らしていますよ」
香さんは慣れたように返事をした。
「ありがとうございます。毎年来ていただいて。夜に訪れてくるなんて初めてで驚きました。すみません、今日は急用がありまして・・・・・・」