jack of all trades ~珍奇なS悪魔の住処~【完】
頭の中が真っ白になったせいで、当然言葉なんてものは出てこないし、更に、増幅された羞恥心で、顔も体も完熟トマトのように真っ赤に溶けそうな瞬間がついに訪れてしまった。
「かわいいね。こんな夜中に可愛い猫ちゃんがやって来るとは、この先1度もないと思っていたよ。僕は見た目だけで人を判断する野蛮な奴じゃないよ。この仕事をしているとね、内に光り輝く宝石を秘めたものとないものを見極める能力が携わってくるんだ。君、店に入ってきたときは、泣いていなかったよね。好奇心と緊張が入り混じったような雰囲気だった。だけど、商品を見ているうちに表情が曇ってきた。いつの間にか泣いていて・・・・・・。ごめん、盗み見するつもりはなかったんだけど・・・・・・いちよう防犯用として、物置の奥から店内が見えるように壁に穴を開けているんだ。僕の予想が正しければ、君はこの店にあるものがどういうものか分かるはずさ」
わたしは顔を上げて彼を見た。
指はまだ頬の上を上下していた。
「きっと・・・・・・この店内にあるもののほとんどが、捨てられたものや修理されたものだと思います。忘れられない傷を抱えているような、嘆きが聞こえてくるような・・・・・・どこかに羽ばたきたいけど、恐怖心に駆られて飛ぶことを諦めているような、そんな気持ちが伝わってくる・・・・・・」
彼はわたしに向かって、極上と言えるほどの優しくとろけるような笑みを浮かべた。
距離が近付いたことで、やっと彼の外貌が明らかとなってきた。
「かわいいね。こんな夜中に可愛い猫ちゃんがやって来るとは、この先1度もないと思っていたよ。僕は見た目だけで人を判断する野蛮な奴じゃないよ。この仕事をしているとね、内に光り輝く宝石を秘めたものとないものを見極める能力が携わってくるんだ。君、店に入ってきたときは、泣いていなかったよね。好奇心と緊張が入り混じったような雰囲気だった。だけど、商品を見ているうちに表情が曇ってきた。いつの間にか泣いていて・・・・・・。ごめん、盗み見するつもりはなかったんだけど・・・・・・いちよう防犯用として、物置の奥から店内が見えるように壁に穴を開けているんだ。僕の予想が正しければ、君はこの店にあるものがどういうものか分かるはずさ」
わたしは顔を上げて彼を見た。
指はまだ頬の上を上下していた。
「きっと・・・・・・この店内にあるもののほとんどが、捨てられたものや修理されたものだと思います。忘れられない傷を抱えているような、嘆きが聞こえてくるような・・・・・・どこかに羽ばたきたいけど、恐怖心に駆られて飛ぶことを諦めているような、そんな気持ちが伝わってくる・・・・・・」
彼はわたしに向かって、極上と言えるほどの優しくとろけるような笑みを浮かべた。
距離が近付いたことで、やっと彼の外貌が明らかとなってきた。