jack of all trades ~珍奇なS悪魔の住処~【完】
言ってしまった。
全て言ってしまった。
香さんはどう動く?
どうせ悲しむことになるのだから、このまま、了承してくれたらいいのに・・・・・・。
さようならと・・・・・・。
今度聞こえた香さんの声は、トーンが2オクターブくらい下がっていた。
「蕾は勝手にいなくなった。約束も破った。あのお婆さんに噂を聞いたんだろう? それで戻ってこれなくなった。俺の思いも聞かずして。どれだけ、悲しかったか、苦しかったか分かるか? 俺は蕾がいなくなったあの夜に、離婚届けを提出したんだ。嫁が出て行って、長い年月が流れた。どこにいるのかも分からない。警察に協力してもらっても見つからない。離婚だってできるわけがなかった。気持ちも揺れていたんだ。あいつは俺のために出稼ぎに行ったんだ。貧乏な何でも屋のためにな。それきりさ。仕送りだって、途中で送られてこなくなった。仕送りはどうでもいいんだ。彼女の手紙がなくなったことが辛かったんだ。事故に遭ったのか、他に愛する人を見つけたのか、監禁されているのか、分からない。そんな悲しみと絶望、孤独を1人で何年も味わっていたんだ。そんな中、君が現れてしまったんだよ。愛しているんだ。だから、あの夜、弁護士にも来てもらって、離婚届を提出した。行方不明でも法律で認められる方法があるそうだ。ちなみに、あのペットショップのお婆さんは、僕の実の祖母さ。両親は早くに命を絶ったんだ。交通事故でね。僕だけ生き残った。だから、祖母に育ててもらったんだ。だから、僕のことは何でも知っている。かけがえのない存在だけど、1番、蕾に会わせたくない人でもある。俺が言いたいのはこれだけさ。あとは、蕾が決めてくれ。と言いたいが、帰ってきてくれ。強制的に・・・・・・とも言いたいな」
香さんは自分を慰めるように嘲笑った。
全て言ってしまった。
香さんはどう動く?
どうせ悲しむことになるのだから、このまま、了承してくれたらいいのに・・・・・・。
さようならと・・・・・・。
今度聞こえた香さんの声は、トーンが2オクターブくらい下がっていた。
「蕾は勝手にいなくなった。約束も破った。あのお婆さんに噂を聞いたんだろう? それで戻ってこれなくなった。俺の思いも聞かずして。どれだけ、悲しかったか、苦しかったか分かるか? 俺は蕾がいなくなったあの夜に、離婚届けを提出したんだ。嫁が出て行って、長い年月が流れた。どこにいるのかも分からない。警察に協力してもらっても見つからない。離婚だってできるわけがなかった。気持ちも揺れていたんだ。あいつは俺のために出稼ぎに行ったんだ。貧乏な何でも屋のためにな。それきりさ。仕送りだって、途中で送られてこなくなった。仕送りはどうでもいいんだ。彼女の手紙がなくなったことが辛かったんだ。事故に遭ったのか、他に愛する人を見つけたのか、監禁されているのか、分からない。そんな悲しみと絶望、孤独を1人で何年も味わっていたんだ。そんな中、君が現れてしまったんだよ。愛しているんだ。だから、あの夜、弁護士にも来てもらって、離婚届を提出した。行方不明でも法律で認められる方法があるそうだ。ちなみに、あのペットショップのお婆さんは、僕の実の祖母さ。両親は早くに命を絶ったんだ。交通事故でね。僕だけ生き残った。だから、祖母に育ててもらったんだ。だから、僕のことは何でも知っている。かけがえのない存在だけど、1番、蕾に会わせたくない人でもある。俺が言いたいのはこれだけさ。あとは、蕾が決めてくれ。と言いたいが、帰ってきてくれ。強制的に・・・・・・とも言いたいな」
香さんは自分を慰めるように嘲笑った。