jack of all trades ~珍奇なS悪魔の住処~【完】
わたしは痛々しい気持ちになって、何も言えなかった。
沈黙が流れていたが、ウエイトレスがグットタイミングで料理を運んできてくれたおかげで、その話はとりあえず脇に置かれた。
目の前にあるのは、湯気と笑顔だった。
久しぶりの再会に話が弾んだ。
(秀斗ありがとう・・・・・・)
心の中でそう唱えながら、食事を終えた。
食後のコーヒー(ミルクはたっぷりと入れた)を飲みながら、一服していると秀斗が急に真剣な表情をして言った。
「今日は蕾にプレゼントがあるんだ。受け取って欲しい。僕の気持ちと一緒に」
わたしは困惑した。
こんな複雑な気持ちの中で、秀斗と戻れるわけがない。
わたしが下を俯いて返事をしなかったからだろう、秀斗は慌てたように言った。
「ごめんな、蕾。無理しなくていい。ただ、受け取って欲しいだけだ。昔行った高級な洋食レストランから少し離れたところに、変わった店があることを知り合いから聞いてな。行ってみたら、何でも屋だったんだ。店の名前は忘れたんだけどさ。ちょうど、そこに、花の蕾の模様が彫られた雑貨が、いくつかあったんだ。蕾のために作られたみたいに感じたんだ。だから、つい嬉しくなって、そこの店主に、『愛する人は蕾って名前なんだ』と伝えて時計を買った。そしたら、『その恋の蕾は花開きますよ』って言ってくれたよ。しかも、メッセージまで彫ってくれたんだ。優しい男性だった。だけどさ、おかしいんだよ。僕には何も聞かずに、勝手に彫っていったんだ。すぐにラッピングされたから何と書いているか俺も知らない。ちょっと開けてみてくれないか?」
沈黙が流れていたが、ウエイトレスがグットタイミングで料理を運んできてくれたおかげで、その話はとりあえず脇に置かれた。
目の前にあるのは、湯気と笑顔だった。
久しぶりの再会に話が弾んだ。
(秀斗ありがとう・・・・・・)
心の中でそう唱えながら、食事を終えた。
食後のコーヒー(ミルクはたっぷりと入れた)を飲みながら、一服していると秀斗が急に真剣な表情をして言った。
「今日は蕾にプレゼントがあるんだ。受け取って欲しい。僕の気持ちと一緒に」
わたしは困惑した。
こんな複雑な気持ちの中で、秀斗と戻れるわけがない。
わたしが下を俯いて返事をしなかったからだろう、秀斗は慌てたように言った。
「ごめんな、蕾。無理しなくていい。ただ、受け取って欲しいだけだ。昔行った高級な洋食レストランから少し離れたところに、変わった店があることを知り合いから聞いてな。行ってみたら、何でも屋だったんだ。店の名前は忘れたんだけどさ。ちょうど、そこに、花の蕾の模様が彫られた雑貨が、いくつかあったんだ。蕾のために作られたみたいに感じたんだ。だから、つい嬉しくなって、そこの店主に、『愛する人は蕾って名前なんだ』と伝えて時計を買った。そしたら、『その恋の蕾は花開きますよ』って言ってくれたよ。しかも、メッセージまで彫ってくれたんだ。優しい男性だった。だけどさ、おかしいんだよ。僕には何も聞かずに、勝手に彫っていったんだ。すぐにラッピングされたから何と書いているか俺も知らない。ちょっと開けてみてくれないか?」