jack of all trades ~珍奇なS悪魔の住処~【完】
見上げると、相変わらずの美形男子がそこにいた。
香さんはわたしより一回りも年上なのに、中身も外見も全く老いを感じさせない。
きっと、気持ちの持ち様だろう。
寂しさと絶望の世界で生きていたと彼は言った。
だけど、それだけで、こんなに生き生きした人間が構成されていくのだろうか?
きっと、彼の周りにいる可愛い雑貨だちが、彼の生きがい、そして、彼らにとって、香さんは救世主なのかもしれない。
皆、置いてきぼりにされた傷を抱えながら生きている。
励まし合いながら、いつか誰かが、その傷を癒せるときがくることを祈っているのだ。
「ごめんなさい。勝手に出て行って・・・・・・」
目尻に滴ができていく、香さんはそれを唇で吸い取った。
取り除いても、取り除いても、溢れるばかりできりがなかった。
それでも、香さんは何度も何度も、涙を手や唇で拭っていった。
「僕はなんてずるいんだろう。元彼を使って、君に想いを伝えるなんて。悪魔だとしか思えないな」
悪戯な笑みを浮かべた香さんを久しぶりに見た。
いっそう磨きがかかっているように感じた。
いや、違う、長期おあずけを食らっていたからだろう。
一瞬志音を思い出したが、このときの香さんの笑みは、比べ物にならないほど迫力があり、大人の魅力が醸し出されていた。
私的に表現すると‘熟されたスペシャル仕様の悪戯な笑み’といったところだ。
香さんはわたしより一回りも年上なのに、中身も外見も全く老いを感じさせない。
きっと、気持ちの持ち様だろう。
寂しさと絶望の世界で生きていたと彼は言った。
だけど、それだけで、こんなに生き生きした人間が構成されていくのだろうか?
きっと、彼の周りにいる可愛い雑貨だちが、彼の生きがい、そして、彼らにとって、香さんは救世主なのかもしれない。
皆、置いてきぼりにされた傷を抱えながら生きている。
励まし合いながら、いつか誰かが、その傷を癒せるときがくることを祈っているのだ。
「ごめんなさい。勝手に出て行って・・・・・・」
目尻に滴ができていく、香さんはそれを唇で吸い取った。
取り除いても、取り除いても、溢れるばかりできりがなかった。
それでも、香さんは何度も何度も、涙を手や唇で拭っていった。
「僕はなんてずるいんだろう。元彼を使って、君に想いを伝えるなんて。悪魔だとしか思えないな」
悪戯な笑みを浮かべた香さんを久しぶりに見た。
いっそう磨きがかかっているように感じた。
いや、違う、長期おあずけを食らっていたからだろう。
一瞬志音を思い出したが、このときの香さんの笑みは、比べ物にならないほど迫力があり、大人の魅力が醸し出されていた。
私的に表現すると‘熟されたスペシャル仕様の悪戯な笑み’といったところだ。