年下だからってなめないで!
「あ、あの!昨日、あなたからハンカチを借りて・・・その、お礼と返却をしに・・・」
未だに大勢の観衆がいるのにも関わらず、あたしは美少年君に返さなきゃという気持ちだけが先に出てしまって、あたふたと鞄の中からおもむろにハンカチを取り出してその子の前に差し出した。
「・・・は?」
しかし、目の前の美少年は目を丸くしていて。
もしかして人違いだったかと、今度は違う意味で焦ってしまった。
「すいません!!人違いでしたっ!!」
「はっ?!・・・ちょっ」
羞恥で一刻も早くこの場から立ち去りたかったあたしは、ハンカチをそのまま握りしめて走り出した。
周りの男子校生達も何事かというように、あたしの行く道を空けて、ただ呆然としていた。
美少年に関しては、何故か少し機嫌を損ねたような声をあげたものだから、あたしは怒らせたと思って走る速度を上げた。