年下だからってなめないで!
は、恥ずかしすぎる・・・!!
あたしは自分の聴力には自信があるほうだし、顔だって覚えていた。
だけど、確信をもてる証拠なんて無かったのに、いきなり目の前にハンカチを差し出してしまった。
あたしは走りづらいヒールで久しぶりに全力疾走しているせいで、まだ5分も走ってないのに息が切れていた。
そして、とうとう走るスピードを緩めざるを得なくなってしまったときだった。
「ちょっと待って・・・っ!」
ガシッ!!としっかりと腕を掴まれ、少しバランスを崩したあたしは、思わず「ひっ」と眉をひそめて悲鳴のような声を上げてしまった。
驚いて後ろを振り返ってみると・・・
「あ・・・」
「ちょっと、何逃げてんの」
あたしと同じく走ってきたのか、あたし程では無いにしても息を切らし、その上さっきと同様少し機嫌が悪い雰囲気の美少年があたしの腕を掴んでいた。
まさか追いかけてくるとは思っていなかったあたしはその場の空気に怖くなってきて、声をかけることも忘れていた。
「・・・っ!別に怒ってるわけじゃないから、そんなに怯えないでくれる?」
あたしが怯えてることが彼にも分かったらしく、さっきよりかは幾分優しくなった声で少し俯きながらあたしの腕を離した。