年下だからってなめないで!
おしゃれな店内で控えめに流れている音楽。客はまばらで、お礼をするには丁度良かった。
注文したしなが届くまでの間、しばしの沈黙が流れた。
「・・・・・・」
どうしよ・・・。何から伝えれば良いのか分かんない。
ていうか、どういうノリで言えば良いんだろ?
あいつ等と話す時はこんな風に全然困らないんだけどなあ・・・ーーー。
「・・・あのっ「お姉さん、名前なんて言うの?」
決心して口を開いた瞬間、美少年があたしの言葉を遮って名前を尋ねて来た。
な、なんか出鼻をくじかれた・・・
それに、あたし自分の名前名乗ってなかったや。
「言うの忘れてたね!笹原由良って言います、よろしくね?」
ん?この場合よろしくでいいのかな?
お礼言ってさよならなだけなのによろしくっておかしいかな?
自分の紹介に不安を感じつつも、美少年に笑顔を向けると、
「俺は松永雪那。・・・よろしく」
最後のよろしくは少し小さめだったけど、しっかり目を見て名乗ってくれた美少年、もとい松永君は綺麗な声であたしと同様によろしくと言った。