年下だからってなめないで!
「えと...」
よく状況が掴めず、キョロキョロと視線を泳がす。
そんなあたしにしびれを切らしたのか、
「あー!!もう、これで拭けばって言ってんの!」
そう言った目の前の美少年は、あたしの手に無理矢理ハンカチを押し付けて、足早に去って行った。
「え、ちょ...ッ!」
あまりの足の早さにあっけに取られたあたしは、ただそこに立ちすくむだけだった。
なぜ、あの美少年はあたしに声をかけたのか、ハンカチを差し出したのか分からない。
だけど、その突拍子のない出来事によって自然と涙は止まってて。
多分あの美少年に立ち上がらせて貰わなかったら、ずっとこのベンチで引きずっていただろう。
「感謝しなきゃ...」
そう1人呟いてあたしは家に帰るため、足を進めた。