年下だからってなめないで!
家に帰ってからのあたしは、1人の空間に寂しさを感じるのかと思いきや、逆に創作意欲がわき、仕事に集中できた。
その、あたしがしている仕事っていうのは、
「メロディーラインは...」
そう、若手音楽プロデューサー。
人気男性アイドルグループなどの作曲や編曲などを手がけていて、今回は育成からプロデュースするという話が来ていて1番大事な時なんだ。
そんな時に、別れ話があったりとかして不安にかられていた。
...あの美少年に会うまでは。
「そうだ。お礼を言わなきゃ、それにこのハンカチも返さなきゃだし...」
仕事のデスク脇に置いてあるハンカチを手に取り、洗濯機のところまで持っていった。
ハンカチを洗濯機に入れると洗剤を入れてボタンを押した。
ゆっくりと動き出した洗濯機の前で立ったまま考えた。
「あの制服はどこのだろう...」
あの美少年のことについて分かっているのは顔と制服だけ。
今思えば名前を聞いとくべきだったな、とちょっとだけ後悔。
デスクのパソコンに再び向かい合うと、一旦仕事の手を休めてネットを開いた。
あの制服がどこの高校かを検索して数分後。
やっと見つけた高校はここから近いまさかの男子校だった。
学校が分かったところで、今度は自分のスケジュールを確認した。
「明日、明後日は曲作りだけか...」
ふむ、と数秒間考えた後に明日学校に伺ってあの美少年にお礼とハンカチを返しに行こうとスケジュールに書き足した。